今日のChicora学園(6/1)今までで一番よかった発表

今日はわいわい授業がありました。

ちょうど昨日ワクチンの接種可能年齢が12歳に引き下げられました。

若者がワクチン接種できるようになるのはまだ先だと思いますが。

そうなると学校でワクチンを接種するようになるかもしれませんね。

と、いうことで、今日のお題は「ワクチンを学校で打つならどう打つ?」です。

でもいきなりそれを考えるのではなく、まずはワクチンのことをいろいろと話をして

そしてワクチン接種の方法がちょっとすごいと話題になっていた豊田市の例を見ました。

豊田市はトヨタと共同でトヨタの生産方式を取り入れたワクチン接種の仕組みを取り入れているみたいです。

そのことについてのNHKのニュース↓

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210530/k10013058951000.html

これをみるとわかりますが、ワクチンを打つ工程(?)をかなり細かく分けてその一つ一つが何秒かかるかまで計算しています。

例えば接種する人が上着を脱ぐのに30秒かかって、腕まくりをするの10秒かかるなど。

そういう参考になるものを見てから、チームに分かれて話し合ってもらいました。

ただ学校で打つだけなら身体測定のときのようにクラスで順番に打てばいいだけで簡単なので、

現在の行政がやっているワクチン接種に近づけるために、土日しか学校に医者が来ないという設定にしました。

そうすると各々用事があるので、来られる日が違ってきます。

そうなると今行われているように自分の好きな時間に予約を入れないといけません。

詳しい条件は下のようにしました。

それらのシステムを考えてもらいました。

1チーム目

部活ごとに受けていくというものでした。

一日(1時間半)で打てるのは40人と想定してくれていました。

土日で用事があって部活で指定された日に来られない人は、後から個人的に予約をするそうです。

その予約枠はあるんですか?と質問が出ていましたが、40人ぴったりになることはないので、その余った枠などでなんとかできるそうです。

また、注射の打ち方も決めてくれていました。

椅子を並べてあって、前の人が打ったらどんどん詰めていくそうです。

2チーム目

こちらのチームはトヨタのニュースを元に、すごく細かく時間を考えてくれました。

そこから分かったtことは1日(1時間半)に60人打てるということです。

だから学校全体の650人が打ち終わるまでに11日かかると計算してくれていました。

この計算に時間がかかって、予約の仕方などはちょっと考える時間がなかったみたいです。

でもこれらの時間は実際に自分たちでやってみて測った時間だそうで、非常に説得力がありました。

私はこういう計算をしっかりするのは素晴らしいと思います。

数式を出されるとそこだけは納得せざるを得ませんからね。(仮定が違うとダメだけど)

今回は自分たちで実際にやってみたという仮定もしっかりしていますので、かなり現実的な数字かと思います。

勝負の結果は2チーム目が勝ちました。

今までのわいわい授業の中で一番しっかりと計算されたものだと思います。

私は計算して論理的に発表するのが好きなので今までで一番高い評価を出しました。

いつも評価シートをつけているのですが(Aチームが2チーム目です)

今回初めて内容の論理性を満点にしました。

いつも厳し目なので満点をつけることなんてほとんどないのですが、それぐらいよかったです。

というよりここまでしっかりと考えてくれた発表が初めてだったので、うれしかったというのもありますね。

今後もこうやってしっかりと論理的に発表してくれるといいなと思います。

よくある質問で「数学って何の役に立つの?」という質問があります。(どの科目でもそうですが)

私はどの科目も正直ほぼ役に立つことはないと思っています。

一部の研究者は数学は役に立つでしょうが、そういう人であっても数学の一部しか役に立つことはないはずです。

学校で学ぶ数学が全て役に立つ人は学校の先生しかいないと思います。学校の先生ですら数学だけ知っていればいいだけではありません。数学以外のスキル(教えるスキル、先生との協働スキルなどなど)が非常にたくさん求められます。

つまり学校の数学の先生でさえ数学の役立ち度合いは、たぶん半分もないぐらいだと思います。

それぐらい学校の各科目の勉強は直接役立つことはないと思っています。

でも、数学で培われる「論理的な思考力」はすごく役に立つと思います。

今回の発表であったような計算は小学校で習うような算数で全部できてしまうものです。

しかしその順を追って一つづつ考えて行く流れは数学そのものです。

そういう数学的な思考力は大人になってからも絶対に役に立つと思います。

また学校の数学の問題は「問題が与えられてこういう答えを求めなさい」とはっきりと示されていますが

今回のお題ではもちろんそんなことははっきりと示していません。

計算自体は算数レベルかもしれませんが、いつもの数学とは全然プロセスが違うと思います。

どう考えてどういう結論に持って行くかも自由です。

別に計算式を出せと言われているわけでもない中で、計算式を出すわけですから「まず計算式を考えてみよう」と思うところから始めないといけないわけです。(数学なら絶対に式は作らなきゃいけないと誰でもわかります)

その初めの一歩が簡単なようで、なかなか難しいと思います。

その「言われてないけど計算式考えてみようかな」という一歩目の考え方は大人になって絶対に役に立つと思います。

すごく大袈裟な話になりますが

ニュートンは誰に言われたわけでもなく「自然を数式で考えてみようかな」と思ったわけです。

そしてそれを数式に表すことに成功しました。

たったそれだけのことですが、そこから物理学が始まって、今のスマホやロケットなどの科学技術までつながっています。

ニュートンのように数式で表してみようという人がいなかったら、たぶん未だに世界は江戸時代ぐらいの生活水準だと思います。

それぐらい「数学的に考えてみよう」と思うことは大事なことだと思います。

わいわい授業では「数学」よりも、「数学的に考えてみようと思うこと」を育てていけるといいなと思います。